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京都地方裁判所 平成6年(わ)1301号・平6年(わ)1303号 判決

裁判所書記官

小島正

(被告人の表示)

氏名

岡田勇

生年月日

昭和二二年六月一六日

本籍

京都府相楽郡和束町大字中小字平田七五番地の一

住居

同町大字中小字平田七七番地の一九

職業

和束町議会議員

主文

被告人を懲役一年二月及び罰金六〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(認定した犯罪事実)

被告人は、丸石商事株式会社が行った不動産売買において真実は売買当事者でないのに売買当事者としての名義貸をするなどしていた者であるが、

第一  中井靖郎は長女中井康惠の委任を受けて同女らと共有していた山林を同社に売却するとともに自己の及び同女の代理人として同女の税務申告手続を行った者、石橋平和は同社の代表取締役として同社の業務全般を統括している者であるところ、被告人は、右中井靖郎、石橋と共謀の上、

一  右中井靖郎が右中井康惠らと共有していた京都府相楽郡精華町大字乾谷小字徳所一三一番、同町大字柘榴小字徳所一六番二の山林を同社に売却したことに関し、右中井靖郎の所得税を免れようと企て、真実の買主は同社であるのにあたかも被告人が買主であるかのように仮装するとともに売買価格を圧縮した虚偽の内容の売買契約書を作成するなどの方法により、右売却に係る所得の一部を秘匿した上、平成四年三月一二日、京都府宇治市大久保町井ノ尻六〇番地の三所轄宇治税務署において、同税務署長に対し、右中井靖郎の平成三年分の実際の総所得金額が五二七万五七九二円で、分離長期譲渡所得金額が四億一七八五万三三四九円であったにもかかわらず、同年分の総所得金額が五二七万五七九二円で、分離長期譲渡所得金額が三億二四六六万五四八七円で、これに対する所得税額が七九〇四万九九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億二三四万六九〇〇円との差額二三二九万七〇〇〇円を免れ、

一  右中井康惠が右中井靖郎らと共有していた右山林を同社に売却したことに関し、右中井康惠の所得税を免れようと企て、一と同様の方法により、右売却に係る所得の一部を秘匿した上、平成四年三月一六日、所轄同税務署において、同税務署長に対し、右中井康惠の平成三年分の実際の総所得金額が八四万九〇七一円で、分離長期譲渡所得金額が三億六〇四一万七二九九円であったにもかかわらず、同年分の総所得金額が八四万九〇七一円で、分離長期譲渡所得金額が二億六七二二万九四三七円で、これに対する所得税額が六四八〇万七二〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額八八一〇万四二〇〇円との差額二三二九万七〇〇〇円を免れ、

第二  前記のとおり名義貸をして手数料名下に収入を得ていたところ、自己の所得税を免れようと企て、同社が行った不動産売買についてあたかも自己が売買当事者であるかのように仮装するとともに、架空の保証債務を計上し、不動産譲渡による収入は発生したが、必要経費を差し引き、更には保証債務の弁済に充てたことから、結局不動産譲渡所得はなかったとするなどの方法により、所得を秘匿した上、平成五年四月二七日、所轄同税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の実際の総所得金額が七二九七万九六三一円であったにもかかわらず、同年分の総所得金額が一四八万七〇〇〇円でこれに対する所得税額は既に源泉徴収された税額を控除すると九万二三七一円と還付を受けることとなる旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額三一八一万四四〇〇円との差額三一九〇万六七〇〇円(一〇〇円未満切り捨て)を免れた。

(証拠)(括弧内の番号は証拠等関係カード(書証分)の検察官請求番号を示す。)

判示事実全部について

一  被告人の公判供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一五一、一五四、一五八、一五九、一六四、一六六)、検察官調書(一六七から一七〇まで)

一  京都地方裁判所平成六年(わ)第一三〇一号等石橋平和、丸石商事株式会社に対する所得税法違反、法人税法違反被告事件第七回公判調書の抄本(手続部分及び証人岡田勇に係る証人尋問調書部分)(二一〇)

一  中井靖郎の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三七、一三九、一四〇、一四二、一四五)、検察官調書(一四六、一四七)

一  石橋平和の大蔵事務官に対する質問てん末書(一七二、一七四、一七五、一七七、一八一、二〇一。ただし、一七五は不同意部分を除く。)、検察官調書(二〇八、二〇九)

一  黒坂敏夫(一一三から一一五まで)、藪下秋生(一一六、一二一、一二七、一三〇、一三一)の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  藪下秋生の検察官調書(一三三から一三五まで)

一  電話聴取書(五)

一  査察官調査書(六、八、一三、二一、二八、四五、六一、六二、六四、六六、八〇、一〇三、一〇五、一〇七)

判示第一の事実全部について

一  分離前相被告人中井靖郎及び同石橋平和の各公判供述

一  中井靖郎の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三八)

一  藪下秋生の大蔵事務官に対する質問てん末書(一二五)

一  査察官調査書(七、九から一二まで、一四、三二、四三、八五)

判示第一の一の事実について

一  証明書(一)

一  脱税額計算書(三)

一  「修正申告書写の提出について」と題する書面(一七)

判示第一の二の事実について

一  中井康惠の大蔵事務官に対する質問てん末書(一五、一六)

一  証明書(二)

一  脱税額計算書(四)

一  「修正申告書写の提出について」と題する書面(一八)

判示第二の事実について

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一五二、一五三、一五五から一五七まで、一六〇から一六三まで、一六五)

一  北川訓史(五〇、五一)、井上健二こと柴田珠一(八九)、岩井正一(九一)、中野隆雄(九二)、中川恭一(九三)、有山武揚(九四)、中山泰樹(九五)、中井正一(九六)、西村千畝(九七)、藪下秋生(一一九、一二〇、一二二から一二四まで、一二九、一三二)、中井靖郎(一四一)、石橋平和(一七六、一七九、一八〇、一八八、一八九、一九六から一九八まで、二〇〇、二〇三)の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  北川訓史(五二)、井上健二こと柴田珠一(九〇)、中井靖郎(一四八)の各検察官調書

一  証明書(一九)

一  脱税額計算書(二〇)

一  査察官調査書(二三から二七まで、二九から三一まで、三六から四二まで、四六、四七、四九、六九、七七から七九まで、八一から八四まで、一〇四、一〇六、一一一)

一  「修正申告書写の提出について」と題する書面(五三)

(法令の適用)

一  罰条

1  判示第一の一、二の各行為 いずれも刑法(平成七年法律第九二号附則二条一項本文により同法による改正前のもの。以下同じ)六五条一項、六〇条、所得税法二三八条一項(判示第一の二の行為については更に同法二四四条一項)

2  判示第二の行為 同法二三八条

二  刑種の選択 いずれも懲役刑及び罰金刑

三  併合罪の処理 刑法四五条前段

1  懲役刑について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)

2  罰金刑について 刑法四八条二項

四  労役場留置 刑法一八条

五  刑の執行猶予(懲役刑について)刑法二五条一項

(検察官竹中ゆかり出席)

(求刑 懲役一年二月及び罰金八〇〇万円)

(裁判官 山口裕之)

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